「紀伊山地の霊場と参詣道」がユネスコの世界文化遺産となって、来年で20年です。登録を目指し、1997年に産声を上げた「『熊野古道』を世界遺産に登録するプロジェクト準備会」が活動25年を迎え、2月25日㊏に記念講演会を開催。毎月実施してきた古道のウォーキング会も11月で300回と大きな節目を迎えます。小野田真弓運営委員代表(57)に話を聞きました。

 

コラム読み自信

──会立ち上げから四半世紀を超えました。

 「1997年3月、県主催の青年交流セミナーで、『和歌山県をテーマにしたイベントの立案』が課題に与えられました。その中の1グループが『熊野古道を世界遺産に登録しよう』と提案したのがきっかけでした」

──その後は。

 「参加者の一人だった私を含め、仲間たちと文化庁をはじめとする専門機関に問い合わせました。しかし、『無理』『熊野古道ってどこ?』といった反応ばかり。活動を続けるかどうか悩み始めたその年の7月、ニュース和歌山さんに和歌山大学、小池洋一名誉教授の「熊野博の成功のために」と題したコラムが掲載され、『熊野三山をユネスコの世界遺産に』と書かれていました。私たちの考えは間違っていないと自信がつき、7月末、ニュース和歌山さんほか、マスコミで賛同者を募って活動開始。毎月のウォーキング会、世界遺産や熊野古道の勉強会、写真展などを実施してきました」

──2004年に世界遺産となった後もウォーキング会を続けています。

 「今月19日㊐開催分が291回目。コロナ以降は県内のコースに限っていましたが、4月からは藤原定家の歩いた京都城南宮から熊野本宮大社までの8巡目を始めます」

 

教材生かすため

──「『熊野古道』を世界遺産に登録するプロジェクト準備会」との名は登録後も変わりません。

 「京都城南宮から始まる古道の全域が登録された訳ではありません。また、何らかの原因で保全状態が悪くなり、顕著な普遍的価値が失われた場合には抹消されます。有史以前から続くこの道を50年、100年、1000年先に残すために、歩き、活用しながら保全し、次の世代に引き継いでいきたいと考えています。世界遺産は『異文化を理解する教材』の一つです。この教材から考え学ぶことは、無知と偏見をなくしていく重要な機会になります。けれども、まだまだ教材を生かしきれていないと思いますので、やめるわけにはいきません。初心を忘れないため、名前を変えずに今後も活動を続けていきます」

 

25周年記念講演会

 2月25日㊏午後1時半、和歌山市役所東隣の和歌山城ホール4階。県世界遺産センターの前副主査、仲克幸さんが「世界遺産の現在、そして今後に向けて」、30年前、和歌山を舞台にした映画『ランニングフォーエバー』で主演した森田健作さんが「青春を語る」と題して講演。無料。申し込み不要。当日先着250人。詳細は同準備会HP。

(ニュース和歌山/2023年2月11日更新)