秘伝のたれに漬け込んだ鯖に、じっくり煮込んだ昆布、そして独自のブレンドで炊きあげたシャリ。「笹一」の鯖棒寿司は、特別な日のごちそうや贈り物に重宝される逸品です。創業以来半世紀にわたり、こだわりの味を守り続ける堀口徹代表(74)に話を伺いました。

 

「鯖、昆布、シャリが三位一体となって醸し出す旨さを味わってください」と堀口徹代表

研究重ねた味 近畿一円で販売

 棒寿司とは、具材とシャリを木枠に押し詰めた寿司。笹一では1975(昭和50)年、南海紀ノ川駅近くに創業した当初からの看板メニューです。
 棒寿司との出合いは、兵庫の修業先でした。「塩のふり方から酢の回し、昆布の炊き方まで、少しの違いで味がガラリと変わる。そこに魅力を感じ、師匠に教えを請いました」。研究を重ねた自慢の味は評判を呼び、今では大阪髙島屋でも販売されるほか、阪急うめだ本店、松坂屋名古屋店のギフト商品にも名を連ね、イベントやお取り寄せサイトでも人気を集めています。

 

鯖だけで月に1200kgほども仕入れるそう。
定番の鯖以外に、小鯛、うなぎ、エビ、カマス、サヨリなど、さまざまな棒寿司がラインナップされています。

鯖、昆布、米 絶妙な調和

 50年以上変わらないのは「うちだけの味を出したい」というチャレンジ精神。「足し算や引き算をしながら、どれだけ奥行きを出せるか。毎日勉強です」
 主役である鯖は丁寧におろし、酢で締め、秘伝のたれに漬け込んで48時間熟成。利尻昆布はふっくら肉厚に炊きあげ、一晩寝かせます。シャリは、酢との相性がいい日本晴、甘味があるヒカリ系など、3種類をブレンドします。
 作りたてを店内でいただくのと、持ち帰って食べるのと、違いが楽しめるのも魅力。さらに翌日になると、酢がなじんで落ち着き、深みが出ます。
 「昆布と一緒に、まずはそのまま。次はだしの効いた自家製醤油を1滴2滴落とし、合間に実山椒やガリで箸休め。絶妙な素材の調和を存分に楽しんでください」。鯖好きを自認する人たちからも太鼓判を押される〝職人の味〟を、きょうも作り続けます。

株式会社 笹一

和歌山市梶取20-2
TEL:073-452-3311
営業時間/土日祝の11:00~21:30(OS21:00)※仕出しは年中無休
㊡上記以外

 

(ニュース和歌山PLUS121号/2025年4月25日発行)
※記事は2025年4月25日時点です。
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