ぶらくり丁で半世紀以上にわたり営業を続ける老舗ファッションセンターの朱洸(しゅこう)が3月31日㊐、現店舗での営業を終える。辻節子社長は「『買いに行くところがなくなる』『寂しくなる』とたくさんの声をいただいています。最後まで感謝の気持ちでお迎えしたい」と話している。

エルビアンが後継

 1948年、和歌浦に衣料品店「いもおと」を開いたのが始まり。同じ商品でも客によって価格が変わる当時の主流から現代の価格設定にいち早く変え、62年、ぶらくり丁に地上5階の朱洸本社を建てた。全国から従業員が集まり、当時は珍しい女性バイヤーが買い付けた最先端の流行ファッションを並べた。

 グループ店も含め和歌山市、岩出市、大阪府高石市に10店舗を展開したが、飲食も楽しめる大型ショッピングセンターの進出や高齢化を受け、次第に縮小。現在は本店と神前店、ブティックのエルビアンぶらくり丁店のみ営業する。

 細かな品ぞろえが売りで、「他府県に引っ越しても『この肌着は朱洸にしかないから送ってほしい』と言ってくれるお客様もいる。婦人礼服なら5号から25号まで200着はあります」と辻社長。姉妹で店を訪れた常連客は「20代から通っています。閉店と聞き、とても驚きました」と残念そう。

 本店と神前店を閉店後はぶらくり丁のエルビアンに一部商品を移し、朱洸として営業を続ける。辻社長は「小さい店になりますが、昔の御用聞きのようにお客様のニーズにこたえお取り寄せに対応し、これからもお役に立てれば」と願っている。

 閉店セールを開催中。本店(073・431・9311)、神前店(同474・4600)。

写真=閉店を残念がる客に感謝を伝える辻社長(右)

(ニュース和歌山/2019年2月27日更新)