南海和歌山市駅ビルが4月から取り壊しに入る。先に、西側のオフィス棟がほぼ完成し、スマートな姿を現した。旧ビルとの対比が印象的だ▼建物は時代をうつす。昭和40〜50年代に建てられた公立学校に顕著で、たいてい同じ形に見える。近年で言えば、キーワードは「ガラス張り」か。和歌山城東西にある裁判所、国土交通省の建物は言うに及ばず、新設される市駅や市民会館もガラス面が多くなる▼そう考えながら現在の市駅ビルを見ると、ひと味違った。全体にレンガを配し重厚な雰囲気を出しながら、正面玄関は金属の骨組みに透明屋根。他にはない新旧折衷のイメージだ▼今後数年で、市駅や市民会館、和歌山駅前の高層ビルと、ランドマークになるような建物が完成すれば、街の印象も変わる。これらもそのうちに、「あぁ、平成っぽいね」と言われるかも知れないが、後々まで強い印象を残す建物はこの中から現れるか。今の街を心にとどめながら、新しい街に頭を巡らせるのもまた、楽しみだ。(小倉)