提案者:古賀 庸憲(和歌山大学教育学部教授)


 和歌山には貴重な自然が残っています。多数の絶滅危ぐ種が生息する和歌浦干潟をはじめ、たくさんの素晴らしい干潟があります。魚介類の育成・収穫の場となる干潟は、里山ならぬ里海の代表格です。ナルトビエイの食害により、和歌浦干潟の初夏の風物詩だった潮干狩りが中止されているのは残念ですが…。

 干潟の役割は他にもあります。海の水や砂泥をきれいにしたり、渡り鳥の食事や休息の場所となったり。カニや貝などの生き物と触れ合えるので、子どもたちには貴重な遊び場、そして環境学習の場となります。

 ですが、干潟などの湿地は利用しやすい場所であるが故に、日本では干拓や埋立により戦後だけで4割以上消滅しました。他国も同じ問題を抱えるため、1971年に渡り鳥の保護を目的にラムサール条約がつくられました。タンチョウの生息地、釧路湿原などが日本における最初の登録地です。その後、保護の対象が広がり、近畿では琵琶湖と串本の海岸(サンゴ群集)が登録されています。

 干潟での登録地としては、ゴミ処理場建設計画が市民運動などにより撤回された名古屋の藤前干潟などがあります。和歌山と泉南の干潟群も、紀伊半島西岸の干潟群として候補に挙がったことはあります。

 ラムサール条約は「wise use(賢明な利用)」をうたっており、地域による活用も重要。藤前干潟では行政と市民による清掃や観察会がとても盛んです。和歌浦でも市民グループや行政による干潟観察会が行われ、親子連れでにぎわっていますが、他の著名な干潟に比べるとかなり寂しい状況です。

 そこで提案です。年に1度は干潟に遊びに行ったり清掃に参加したりして、生き物とたわむれ、自然を満喫しましょう。このような行動自体が環境保全、ひいてはラムサール登録に繋がります。子どもと一緒に大人もカニ採りなどで童心に返るのもまた大切ではないでしょうか。

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法案への読者の声

障がい者とふれあう日を

7月1日号掲載

 大人も子どもも、特に小さな子どもは、毎月1回、障がい者と共に過ごす日をつくることを提案します。幼いころから障がいを持つ人と日常的に接することで、誤解や偏見がなくなると思います。
(障がい者アート教室ほっとチョコレート代表 松本よしみ)

 

 ◎だれもが互いに理解し、尊重し合って楽しく過ごせる地域。理想を語るのは簡単だが、実現することは難しそう。しかし、子どものころから障がい者とふれあう機会があれば、障がいに関する誤った知識を持つこともなく、障がい者だけでなく、自分とは違う個性を持った他者を理解できる大人に育つと思う。そんな大人が増えた地域は、きっと住みやすくいい場所になる。(会社員 匿名 38歳)

 ◎息子が幼いころ、公園で遊んでいると、障がい者のグループが大勢来て遊び始めた。1人の積極的な低学年くらいの女の子が息子に興味を持ち、コミュニケーションも取れていたので見守っていたら、急にその女の子が息子の腕を引っ張って走り出した。息子は驚いて泣き叫び、引っ張られたことで足をすりむいた。障がい者に対して偏見を持つつもりはないし、子どもにも絶対持たせたくないという気持ちはあるが、そのような場面に遭遇してしまうと、やはり小さな子どもを交流させることには抵抗がある。ある程度自分自身で判断できる小学校高学年や中学生、高校生なら賛成。その場合も、大人の見守りや助言は欠かせない。(主婦 匿名 38歳)

(ニュース和歌山/2017年7月15日更新)