9秒98──。桐生祥秀選手が100㍍走でついに10秒の壁を破った。スポーツ選手の活躍は、その報に触れるだけで、体が熱くなり、前向きな気持ちになれるから不思議だ▼和歌山では2年前、国体が開かれ、国内トップ選手を間近にする機会があった。これに合わせ、小学生のうちから有望選手を育成するゴールデンキッズ発掘プロジェクトが行われ、成果を上げている▼その一方、〝国民〟体育大会とはいうものの、大半の市民にとって実際にプレーすることとは無縁。それでも国体を機に、プールや武道場、テニスコートなど多くのスポーツ施設が整備され、活用しない手はない。4年後には関西一円で、30歳以上対象のワールドマスターズゲームズが行われる。だれでも参加できるのが魅力のスポーツの祭典だ▼一流アスリートでなくても、スポーツを通して感動、喜び、悔しさを味わえる。下手でも遅くても、そんな気持ちになれるのは、取り組んでこそ。そうして見えること、楽しめることが、必ずある。(小倉)