4月、小学生になる娘。ランドセルは茶色、筆箱と下敷きは水色、好きな色は黄緑で、普段はパーカーやズボンを好んで着る。男子向けの商品は手に取らないが、かわいらしい女子向けも選ばない。そんな彼女が通学服を採寸した際、「ズボンの方が動きやすいのになぁ…」とぽつんともらした▼「学校で決まってるんやって」と返事したものの、これは正しい答えになっているのだろうか。女の子なら赤やピンク、男の子だから泣いちゃだめ…に対し、「なぜそうなのか」と問う娘の前で、「知らぬ間にすり込まれている意識のせいです」と言うのは情けない▼社会に根深く残る暗黙のルールは、徐々に検証の対象になってきている。しかし、まだまだ立ちふさがる壁は分厚く、高いだろう。親としてできることは、心に芽生えた疑問や感情を素直に話せる相手でいることだ▼先日ようやく届いたランドセルをうれしそうに背負う小さな背中。自分の選んだ色を身につけ一歩踏み出す姿に、こちらの背筋も思わず伸びた。 (井本)

(ニュース和歌山/2021年3月27日更新)