「地域おこし協力隊」を知っていますか? 地方創生の柱として総務省が2009年に立ち上げた制度で、都市部などから地方に住民票を移し、1~3年の任期で活動します。その内容は様々で、各地の資源を生かした観光振興や町のPR、空き家対策など、それぞれの地域が抱える課題解決に取り組みます。

 私は2018年10月~21年9月の3年間、海南市の協力隊として働きました。主に紀州漆器はじめ、黒江地域の情報発信、観光マップ作り、イベント運営に携わりました。活動を通し黒江に愛着がわき、相談できる人が増えたことが財産です。

     研修会では有意義な時間を持てました

 やりがいを感じられた一方、「期待に添えているのか?」「よそ者の私に何ができるのか?」など焦燥感を感じたことがあります。そんな悩みに耳を傾けてくれる人がいました。それが支えとなり、卒隊した今も引き続き、黒江に住みながら活動できているのだと思います。

 今年5月末現在、県内の協力隊員は41人で、卒隊後も定住しているのが約90人。そんな現役、OBを結ぶ「和歌山県地域おこし協力隊ネットワーク(仮称)」の設立に向け、私を含む卒隊生7人が動き始めています。6月には県内2ヵ所で研修会を開き、合わせて44人が熱心に語り合いました。互いの活動内容や環境の違いを理解し合えたのに加えて、情報不足や人間関係など、それぞれの不安要素、葛藤、孤独感を共有できました。

 また、隊員同士が気軽に連絡を取り合える場をつくること、各自が拠点としている地域を訪れるツアーを組むなど、今後に向けた提案も聞かれました。県内の各所で活躍する現役隊員や卒隊生が増え、つながることができれば、地域と地域の垣根を越えた活動が生まれるのではと可能性を感じています。ネットワーク化に向けた動きはこれからも進んでいきます。

黒江コンシェルジュ 瀬戸山江理(毎月第2土曜担当)

(ニュース和歌山/2022年7月9日更新)