1月21日の当コラムで、地方に住む社会人の学びについて言及しました。経済産業省の「未来人材ビジョン」では、子どもの教育についても〝好きなことに夢中になれる教育への転換〟を訴えています。

 時代が新しく進むときは、新しい学びの形が生まれます。私がこれらに興味を持ったきっかけは、兵庫県で探究型の教育を行う「ラーンネット・グローバルスクール」。当時働いていた会社の創業者が新しい時代を切り開く方だったので、〝こんな人物はどんな教育で生まれるのか?〟と思っていた時、当スクールの記事を偶然見ました。

 今、全国から注目を集める新しい学校は、徳島県の「神山まるごと高専」。テクノロジーとデザイン、起業家精神を学ぶための私立学校で、新規事業を立ち上げ社会貢献してきた経営者やクリエイターによって、4月開校予定です。

 公立では、広島県の「常石ともに学園」が昨年開校。教育先進国オランダで普及する、異なる年齢でクラスをつくって学習する「イエナプラン」という教育手法を採用しています。

 県内でも動きは広がっています。実は全国的な新しい教育の先駆けは、1992年に橋本市で開校し、体験学習を全面に取り入れた「きのくに子どもの村学園」と言われています。この系列校は昨年、ドキュメンタリー映画『夢みる小学校』にも登場しました。また、2017年、紀の川市に開校した「わかやまシュタイナー学園」は、ドイツで広がった五感で学ぶ教育を大切にしています。25年開校を目指す「ワカヤマスコラボ」は、県内で場所探しを行い、田辺市中辺路に拠点を置きます。〝グローバル×ローカル〟な探究教育を行い、県外からも教育目的の移住者を呼び込む予定です。

 新しい教育は、和歌山市の「めぐみと森のようちえん」や放課後教室「ピーターソックス」、橋本市の「つくるがっこう イホルラ舎」でも取り組まれています。和歌山大学は新しい人材育成のため、「アントレプレナーシップデザインセンター(仮称)」の準備を進めています。

 これらの手法は様々ですが、共通しているのは、子どもの自発性を大切にする学びの場であること。多様な教育の選択肢が、県内でも定着する兆しが生まれています。

WEBメディア「ワカヤマデイズ」運営 武田 健太(毎月第3土曜を担当)

(ニュース和歌山/2023年2月18日更新)