もうすぐ、春を告げる「ひな祭り」ですね。最近、目にする機会が少なくなったひな飾りを、街中に並べて楽しむまちおこしイベントが毎年各地で開かれています。紀州の文化や歴史をつづる「ふるさと癒やし歌」には、おひな様が歌いこまれた曲が何曲かあり、その街々を歌い巡る「静の雛(ひな)歌巡り」を2015年から実施しています。今年は3月5日㊐に紀の川市の粉河と海南市の黒江で歌わせていただきます。

 粉河では、今年で9回目を迎える「粉河とんまか雛通り」が3月12日㊐まで催されています。大正時代の建物で国登録有形文化財の山﨑邸を中心に、とんまか通りとその周辺で、ひな飾りと、全国から届いた絵手紙で彩る絵手紙散歩道があります。この絵手紙はとっても温かい気持ちになれますよ。そして、粉河寺を訪れた作詞家、星野哲郎さんが、「♪春は三月 ながし雛~」と書き下ろした『門前町は恋の町』を私が歌うショーを、イベントの運営をする皆さんと行います。5日午後1時、粉河駅前のとんまかスクエアです。

 続いて、同日午後5時から、黒江ぬりもの館で、『黒江からころ為の女』歌謡ショーを開催します。「♪お食い初め ひなまつり~」と、漆器でお祝いをする風景が歌われたオリジナル曲です。漆器の町を思い起こさせるメロディーですよ。また、国指定の名勝庭園が見事な温山荘園まで足をのばせば、「温山荘の雛まつり」が3月1日㊌~4月2日㊐に開かれています。

 子ども時代、ひな祭りを祝う習慣がなく、おひな様は憧れの存在でした。そんな私がひな人形を前に歌う…。「小さいころの自分に見せてあげたいな」と毎年思います。海南、粉河とそれぞれの町の歴史や文化を訪ねながら、春の紀州を散策されるのはとても素敵です。

 今回の動画は2017年、海南駅に展示されていた千体びなを前に歌った『黒江からころ為の女』です。

演歌歌手 宮本静(毎月第4土曜を担当)

(ニュース和歌山/2023年2月25日更新)