関東よりJターンして早6年目。新天地として選んだこの地を“近畿のおまけ”と自虐的に呼ぶことがあると知った時、反応に困った記憶があります。

 さてこの7月、県民にとって驚くべきニュースが舞い込んできました。旅行専門誌『じゃらん』の宿泊旅行に関する「都道府県魅力度ランキング」で、人気観光地の沖縄県や北海道を抑え、和歌山県が見事「総合満足度」全国1位になったのです!

 別のニュースでは、玄関口である南紀白浜空港の月別搭乗客数が、4月から4ヵ月連続で過去最高を更新しているとか。コロナ禍で今なお地方空港が苦しむ中、増えている空港は異例だそうです。ちなみに空港のある白浜町は、コロナ禍前から全国に先駆け、ワークとバケーションを合わせた新しい働き方を提唱し、“ワーケーションの聖地”と呼ばれているのは、ご存じの人も多いかもしれませんね。

 何が高い評価を得たのでしょう。テーマ別のデータを見ると、おもしろいことが分かります。「地元ならではのおいしい食べ物」「魅力ある特産物、土産物」「魅力的な宿泊施設」「地元の人のホスピタリティ」…実はこれらの項目で、和歌山は1つも上位10番以内に入っていません。

 一方、高評価だったのは、「子供が楽しめるスポットや施設・体験」(3位)、「ご当地ならではの体験・アクティビティが楽しめた」(7位)の2項目のみ。そして、「トータルの満足度」が、昨年1位で今年も全項目が上位にある観光業界の巨星、沖縄県が90・8%に対し、和歌山県は91・0%と昨年の8位から一気に抜き去りました。

 あえて特徴を総括すると、個別の特筆すべきものは決して多くないものの、家族、体験、アクティビティがキーワードで、モノ消費でなくコト消費の満足度が高い県と言えるようです。

 以前、このコーナーで紀美野町の仲間とつくったアウトドア体験を行うグループ「team2020」を紹介しました。紀伊半島の素晴らしい自然の中、子連れを中心に手軽なアクティビティを提供したいとリバートレッキングを開いており、今年は昨年の3倍の人が来てくれました。コト消費を実践する身として、「和歌山の最大の魅力ってやっぱりそこ」を実感しつつ…、“近畿のおまけ”からの逆襲がまさに始まったのです。

和歌山大学・地域連携専門職員 増山雄大(第1週を担当)

(ニュース和歌山/2022年9月3日更新)