5年前、千葉県から紀美野町の「地域おこし協力隊」として赴任したのは、自分の教員経験が生かせる魅力的なミッションだったことと、実際に町を訪問し、土地柄や人に触れての決断でした。地方創生の柱として13年前に総務省が立ち上げた「地域おこし協力隊」制度。県内の現役隊員は約40人、任期を全うした卒隊員は約70人です。盛んな道府県と比較すると(表)、活用の余地がありそうです。

 今後、隊員数を増やすポイントは、活動の満足度を高めるサポートです。およそ4人に1人の割合で、ミスマッチといった理由から途中で辞めています。思いが強くても、未知の場所での生活や地域活動、戸惑いはたくさんありますし、なじむ努力や適応力も必須です。一方、担当の行政職員も苦労や悩みを抱えがちです。募集や研修・情報発信を含め、これらをトータルでサポートする組織が求められており、全国的に次々と誕生しています。

 和歌山では私を含む協力隊OB、OG7人が、「わかやま地域おこし協力隊ネットワーク(仮称)」の来春設立に向け準備しています。隊員、行政、地域、皆が笑顔になるよう人をつなげ、支えるのが目標です。9月の勉強合宿(写真)では、他県の先進的な支援の事例を聴講。何よりメンバーの結束を強める絶好の機会になりました。

 考えてみたら、来和以来、私にとって「つなぐ」ことが一つのライフワークになっていると気づかされます。地域と役場、地域と学校(小中高大)、学校同士、地域内外の人同士、年配者と若者など。つながることで人は色んなものを分かち合います。勇気、やる気、刺激、笑顔…。たぶん私はこの化学反応の瞬間に立ち会うのが好きなんでしょうね。そして今度は協力隊員を軸とした人間同士のつながりづくり。これ、やっぱりお役目なんだと思います。

和歌山大学・地域連携専門職員 増山雄大(第1週担当)

(ニュース和歌山/2022年10月1日更新)