近年、全国的に「オープンファクトリー」が広がっているのをご存知でしょうか? ものづくり従事者にとっては日常である現場に改めて光を当て、「魅せるものづくり」を新しい観光コンテンツとして捉え直し、産地の魅力を発信する産業観光まちづくりイベントです。全国で話題になっている、芸術祭やアートフェスの「ものづくり版」とも言えます。

 背景には、働き手となる若者の減少・流出、職人の高齢化、地域経済に対する閉塞感などものづくりにおける課題を、チャンスに変えていこうとする人々の奮闘があります。

 先駆けとなったのは、2013年に始まった新潟県燕三条エリアの「工場(こうば)の祭典」です。期間中、数十ヵ所の現場や製品、職人の姿をかっこ良く見せることでその良さが再認識され、メディアが取り上げ、若者の就職や移住、職人や製造業の価値づくり、地域経済の活性化につながっています。19年には4日間でのべ5万6千人が訪れ、国内有数の産業観光イベントに。複数の市にまたがりながら、エリア一丸となって取り組んでいます。小学生から大学生まで参加し、地場産業の学習にもなっています。

 そんな中、11月5日㊏、6日㊐に紀北エリアの民間有志が「和歌山ものづくり文化祭」と題したイベントを開催します。和歌山城ホールに県内企業20社が集まり、職人と直接話せる製作体験を実施します。

 経済産業省も地域経済活性化のためにオープンファクトリーを後押ししており、11月3日㊍には「関西オープンファクトリーフォーラム」を同ホールで行います。ここでは実際に、福井県のイベント「RENEW(リニュー)」を成功させた関係者から、ものづくり産業が前例にとらわれず、どう地域に根差し、価値を上げていくかの話を聞けます。

 今月8日~10日には、若者が興味を持つきっかけにと、衣食住にかかわる職人たちによるイベント「クラフトマン」も海南駅近くで開かれました。未来を担う若者が多様な仕事・ものづくりを知ることで、「和歌山で暮らし、働くことはおもしろい」と考えるようになり、地域経済の活性化、ひいては持続可能なまち・和歌山につながればと思います。

WEBメディア「ワカヤマデイズ」運営 武田 健太(毎月第3土曜を担当)

(ニュース和歌山/2022年10月15日更新)