小学生のころ、とある新聞社の小学生新聞を切り抜きしていました。音楽業界では「ニューミュージック」との言葉が登場した当時、『異邦人』で有名な久保田早紀やアリスなどのミュージシャンを取り上げた記事はじめ、戦隊ものの主演俳優、野球選手らの記事をせっせと切り貼りしました。時事問題の記事もあったはずですが、覚えているのは前述のようなものばかり。人物を取り上げた記事が特に好きだったんですね。

 ネットの普及により若年世代の活字離れが言われ、新聞媒体もなかなか厳しい時代になりました。一方で、新聞を教材として活用する活動「NIE(Newspaper in Education)」が学校現場で行われています。自分で地域や社会の課題を見つけ、読み解く情報活用力を育む試みです。私自身も教員時代、記事を題材にしながら授業したのを懐かしく思い出します。

 私ごとながら昨年末、義父とのお別れがありました。私がこのコラムを担当し始めたのが昨年の4月。それからしばらく経ったころ、妻から「父が(私の)コラムを毎月切り抜いてノートにまとめているよ」と耳にしました。驚きとともに、ちょっと気恥ずかしいような。

 妻の実家は岩出市です。私自身は義父と日ごろから密な交流があったとは言えませんが、移住後の我々のことをいつも気にかけ、応援してくれていたのだと思います。そんな中での突然の訃報。親族が集まり、遺品の整理をしている際、一冊の大学ノートを見せてもらいました。何気なく開くと、私のコラムを切り抜きしたものでした。4月から12月…。1ページずつ丁寧に貼られていました。厚みのあるノートにたった9ページ。めくる度、言葉にならない思いがこみあげてきました。

 義父はどんな思いでコラムを読んでいたんだろう、面白いと思ってくれていたんだろうか、今となっては聞くこともかないませんが、感想を聞いてみたかった。1月以降も切り抜いてほしかった。まだまだ白紙のページはたくさんあるのに…。

 胸の奥にわき上がる温かいものを感じながら、ニュース和歌山につないでもらった「きずな」に感謝しつつ、新聞記事を介した男同士の“対話”を大切に胸にしまっておきたいと思います。

和歌山大学・地域連携専門職員 増山雄大(第1週を担当)

(ニュース和歌山/2023年2月4日更新)