皆さん、音楽の授業は好きですか? 今回は、和歌山市西高松の和歌山県立図書館にある「南葵音楽文庫」を紹介します。ここには昔の音楽の資料がたくさん保管されていて、中にはとっても貴重なお宝も。一体、どんなものがあるんでしょうか?

 

ずらり2万点

 江戸時代、紀州藩最後のお殿様、徳川茂承。その孫、頼貞(1892─1954)が集めた昔の西洋音楽に関する資料やコレクションが南葵音楽文庫です。2017年から県立図書館で展示されています。図書館で働く坂口佐知子さんは「世界でここにしかない資料もあるので、いろんな国から問い合わせがきます」。

 ここに並んでいるのは全部で約2万点の貴重な資料です。一番古いのは、1471年にヨーロッパで作られた音楽の本で、1600年代にシェイクスピアが書いた作品集も。

 みんなが聞いたことがある作曲家の有名な曲の楽譜もあります。シューベルトの『魔王』は最初に作られた1821年のもの。ベートーヴェンの『月光』は1909年に日本で初めて出た楽譜です。

 昔は本の価値がとても高く、職人が手作りした革のカバーのものがいくつかあり、その時代の技術にふれられます。

写真=1825年に出たベートーヴェン『交響曲第9番』の楽譜

 

頼貞の宝物

 ここの資料を使い、音楽の歴史を研究している佐々木勉さんによると、頼貞は、大正時代にコンサートホールを作ったり、無料の演奏会を行ったりしたそう。「たくさんの人にヨーロッパの音楽を知ってもらおうと努力していました。家族だけでなく、お手伝いさんたちにもヨーロッパの国々を見せたいと何度も連れて行きました」。

 南葵音楽文庫に保管されているのは、頼貞の宝物。教科書にも載るような曲の本や、ヨーロッパの音楽の歴史が分かる貴重な資料を直接見ることができるのはここだけです。

写真=500年以上前の本を開く佐々木さん

 

南葵音楽文庫

 ㊋〜㊎は午前9時〜午後7時、㊏㊐㊗は午前9時〜午後6時。月曜休み。

(ニュース和歌山/2020年3月14日更新)