妖怪をこよなく愛する漫画家、マエオカテツヤさんによるニュース和歌山土曜号の人気連載「妖怪大図鑑」。2019年第1回は新年にあたり、〝怖さ〟でなく、〝幸福度〟満点の妖怪2つを紹介します。

 

其の百参拾七〜蟾蜍(せんじょ)

幸福度:5
家の妖怪
出没地域:新宮市

 新宮市に住むある老人に「3本足の蛙」のミイラを見せてもらったことがある。「これは縁起物やで」と言うので調べてみたら、結構ポピュラーな妖怪だったので紹介する。昔、中国に劉海蟾(りゅうかいせん)という徳の高い仙人がいて、肩に「3本足の蛙」を連れていた。この蛙は蟾蜍と呼ばれ、長寿と福運を呼び込む吉兆の象徴とされたという。この伝説が日本に伝わり、縁起の良いものとなったそうだ。見せて頂いた蛙は前足が2本、後足が3本であったが、本来は前足が2本、後足が1本である。

 

其の百参拾八〜金霊(かなだま)

幸福度:5
家の妖怪
出没地域:有田川町

 金霊は金玉とも呼ばれ、金(かね)の“気”や“精霊”であるとか、空から落下してくる光の玉であるなど、伝わり方は地域で様々だが、福の神のように訪れた家を栄えさせる妖怪には変わりない。昔、有田川町清水の材木商の蔵に光り輝く玉が入って行くのを家の子供が見た。だれに話しても信じてはくれなかったが、家は日増しに裕福になっていったという。江戸の妖怪絵師、鳥山石燕(とりやませきえん)は 「富を得ることは天命によるもので、無欲で善行を行っている者のところに福が訪れる」と論語の「富貴在天(ふうきざいてん)」を引用し、解説している。

(ニュース和歌山/2019年1月3日更新)

 

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