怖さ:4
山の妖怪
出没地域:熊野地域

 熊野は山陰の洞窟に、虎のように大きな獣がいた。里の犬や狐などを捕らえては食べ、時には人間を追いかける。ほとほと困った里人たちは立ち上がり、何とか仕留めようと、鉄砲を持って待ち伏せた。ある夜の事、ものすごい勢いで山から下りてきた獣を、一斉に鉄砲でねらった。しかし獣は風のような速さで、弾をすり抜け逃げた。そこで、今度は罠を仕掛けて捕まえることにした。さすがの獣も罠には気づかなかったようで、ついに捕獲に至った。捕まった獣は、猪をも食らうほどの大きな猫であったという。江戸時代の説話集『新著聞集』には貞享2年(1685年)5月の出来事とある。

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(ニュース和歌山/2019年5月18日更新)