妖怪をこよなく愛する漫画家マエオカテツヤさんの「妖怪大図鑑」。2024年の干支「辰」にちなみ、「龍」が登場するお話を2つ紹介します。

 

堅田大池の龍

怖さ:3
水の妖怪
出没地域:白浜町堅田大池

 昔、富田の西ノ谷村の籠屋に、美しい娘がいた。ある日、娘が急に池を見たいと言い出し、両親がつぶり山の二つ池に連れていくと「この池には針がある」と云う。新庄の池にいくと「剃刀と鎌が沈んでいる」と云う。最後に堅田の大池へ連れていった。池を眺めていた娘は、下駄とかんざしを残し、いきなり大池に飛び込み、池の中から現れたときは龍の姿になっていた。父親は驚いたが、「もう一度元の姿になって、母に暇乞いせよ」と云った。元の姿となって現れた娘に、母は「決して人を食べてくれるな」と云い、「うらみごんせん堅田の池に秋の稲穂の露ほどに」と一首を詠んで悲しんだ。その後、堅田の里では、どんなに日照りが続いても、田圃の水が枯れることはなかった。残された下駄とかんざしは、今も大池のそばの祠に大切に祀られているという。

 

川辺の龍王

怖さ:5
水の妖怪
出没地域:和歌山市川辺

 ある年の夏、紀ノ川が大水に見舞われ、川辺あたりは大騒ぎとなった。そんなある日、子供らが岸に流れ着いた金の御幣が入った木箱を拾ってきた。親はそれを元の場所に返してこいと怒った。その晩、両親ともに熱がでた。近所に住んでいた山伏に助けを乞うと、山伏に龍王が乗り移り「我はこれより川上、伊都の背の山、妹の山に祀られていた龍王である。大水に流され、この村に着いた。子供らが拾うたのに、その親たちは我を祀ろうともせず再び川に捨てさせた。よって祀られていた背の山・妹の山の見える高い場所に祀れ。さもなくば村中の者に崇りがあろう…」と云う。村の人はもう一度、金の御幣を拾うてきて、川辺の東北の方角に小山を築いて、龍王を祀った。

 

 マエオカテツヤさんの『和歌山妖怪大図鑑』は県内主要書店で発売中。1017円(税込)

(ニュース和歌山/2024年1月3日更新)