怖さ:4
川の妖怪
出没地域:和歌山県全域

 以前、この連載で突然目の前に立ちふさがる「鬼の足」を紹介したが、今度は手の妖怪である。明治22年、紀州大水害の時、家も家畜も何もかもが濁流に流されていく中、曇天から赤い腕がスーっと伸びてきて、溺れる子供をつかみ上げて、どこかへ連れて行ったのを見た人がいたという。さらに明治26年の水害の時、やはり空から赤い腕が伸びてきて、屋根の上で流されまいとする人をつかもうとした。その人がとっさに瓦で赤い腕を叩いたところ、金属音が鳴って、空から米が降ってきたとの記録もある。この後、明治29年の水害の時にも赤い腕を見た人がいたという。果たして、赤い腕と水害には何の因果関係があるのだろうか。

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(ニュース和歌山/2023年8月19日更新)