怖さ:3
家の妖怪
出没地域:みなべ町

 年老いた美しい木が切られた後、板になり、加工された品が泣く現象。その昔、みなべ町のある家で居間にかけられた絵の方から、しくしくと泣き声が聞こえてきた。しかし、絵に描かれた人物は涙を流すどころか、微笑んでいるようにも見える。はて?と家人は首をかしげたが、毎夜のように聞こえるので、寺の住職さんに来てもらったところ、これは泣き板で、泣いているのは絵ではなく、額縁であると言った。自然に生きとし生けるものは、年月を経ると魂を持つ。木は加工され額になっても、魂は残っているということなのだろう。

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(ニュース和歌山/2020年3月7日更新)