其の百九拾四〜アマビエ

怖さ:1
海の妖怪
出没地域:熊本県ほか

 新型コロナウイルスが猛威をふるい、様々な事が自粛傾向にある日本。そんな中、「アマビエ」という妖怪が全国で話題になっているのを御存知だろうか。人魚のような姿をしており、海から現れ、豊作や疫病などを予言する。肥後国(現在の熊本県)にはこんな話が残っている。弘化3年(1846)4月、毎日、夜になると、海の中に光る物体が現れた。役人が見に行くと、妖怪が出てきて、「私は海中に住むアマビエと申す者なり。当年より6年間は諸国で豊作が続くが、疫病も流行する。私の姿を描いた絵を人々に早々に見せよ」と予言したという。この話に、コロナウイルス退散を願った現代人がのっかる形になってのブーム。皆さんもこの絵を切り取って、お札にしてください。

 

其の百九拾五〜件(くだん)

怖さ:2
里の妖怪
出没地域:田辺市ほか

 牛から生まれ、人の言葉を話す人面牛身の妖怪。生まれてまもなく、世の中にとって重大な予言をして、それは必ず当たる。しかし、その予言が現実になったら、たちどころに死ぬらしい。また、件の絵姿は厄除招福の護符になる。天保時代のある古い瓦版には、「人面牛身の件が現れ、その後、豊作が続いた。この件の絵を貼っておけば、家内安全、疫病から逃れ、一切の災いを逃れて大豊年となる。実にめでたい獣である」とある。新型コロナウイルスで恐々とする昨今、この絵で疫病退散を祈ろうじゃありませんか。

 

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(ニュース和歌山/2020年4月18日更新)