怖さ:3
海の妖怪
出没地域:すさみ町

 すさみ町周参見には他に類を見ない猫又の伝承が残る。大正元年の夏、風の強い日に14~15歳の少年が海に入っていたところ、足に骨が見えるほどの裂傷を負った。深い傷にもかかわらず、血のひとつも出ていない。あわてて友人が背負って家へ連れて帰ったという。地元では海中で裂傷を負っても、痛くもなく、血も出ないことがよくあるそうで、これを猫又の仕業とする。陸上でも同様の現象が報告されるが、これは鎌鼬(かまいたち)の仕業として有名。どちらも風の強い日に現れるのも似ていて、この話を聞いた南方熊楠は同種の妖怪と考えたようだ。

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(ニュース和歌山/2020年8月15日更新)