怖さ:3
山の妖怪
出没地域:有田川町

 有田川町の話。昔、男が山道を歩いていると、どこからともなく山椒のいい香りがしてきた。これ幸いと探すが見つからない。そこへ一人の老人が山中から現れ、「何をお探しか?」と聞いてきた。男が「山椒を探している」と答えると、老人は拳を差し出し、「これをなめてみろ」という。男は嫌々、老人の拳をなめると、なんともいい山椒の味がした。ところが次の瞬間、舌がビリビリとしびれだし、やがてしびれが全身に回ってうずくまってしまった。山には老人の笑い声が響き渡った。気がつくと、日も暮れかけていて、男の傍らには山椒が一房落ちていたという。

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(ニュース和歌山/2020年10月31日更新)