怖さ:2
山の妖怪
出没地域:那智勝浦町

 弘法大師を高野山へ誘った「導き犬」や、古座川の一枚岩を守った「守り犬」など、和歌山には犬にまつわる伝説が結構ある。那智勝浦町湯川にはこんな話が残る。この辺りの猟犬は「赤耳」と呼ばれ、耳だけが赤いという。かつて、山深くに「山姥」が棲み、迷い込んだ村人を片っ端から食べていた。ある時、一人の猟師が山で猪を追っていたところ、連れていた猟犬が一気に吠え立てた。猪かと思い銃を構えた男の前に現れたのは、山姥。銃を恐れず男につかみかかった。その時、猟犬が山姥に襲いかかり、かみ殺したそうだ。猟犬は返り血を誇らしげに己の耳に塗った。その犬の末裔が赤耳。勇敢な犬の証なのだ。

                  …   …   …   …   …

 妖怪をこよなく愛する漫画家、マエオカテツヤさんの『和歌山妖怪大図鑑』、主要書店で発売中です(税込み1017円)。

(ニュース和歌山/2023年7月29日更新)