江戸時代、徳川御三家の一つとして栄えた紀州藩。その歴史物語を菓子に乗せ、後世へと伝える3品を紹介します。いずれも昔から変わらぬ製法を守り、故郷の味として親しまれてきた銘菓ばかり。新春に日本茶と甘味で和歌山の歴史に思いをはせて…。

 

総本家駿河屋  本ノ字饅頭

17010313_suruga 丁寧に炊き上げた国産小豆のこしあんをもち米の皮で包み、天然の米こうじで発酵させた酒饅頭。江戸時代から製法は変わらず、参勤交代の際は非常食として重宝された。「本」の字は紀州藩の教訓状「父母状」の「正直は本なり」からとった。昨年12月から本舗と海南店で開店時に蒸し立てが味わえ、河合正規総務部長は「あんがしっとりして温かく、出来立ては格別です」。119円。

駿河町本舗=和歌山市駿河町12
☎073・431・3411
9:00〜18:00/定休日無し。年始は4日(水)から

 

うたや  五十五万石

17010313_utaya 江戸時代に五十五万五千石の石高を誇った紀州藩にちなみ、うたやが創業時の1950年から作り続ける。田川晋朗(のぶあき)代表によると「創業者が葵紋と五十五万石の使用許可を16代当主、徳川頼貞から直々に得た」という紀州徳川家のお墨付き。口に入れるともち米でできた薄種がほろっと溶け、求肥(ぎゅうひ)に包まれた北海道産小豆の上品な甘みを存分に感じられる。140円。

和歌山市堀止西2-10-14
☎073・425・6359
9:00〜19:30/火曜定休。年始は6日(金)から

 

マニエール  吉宗ポテト

17010313_mani 飢きんへの備えとしてさつま芋栽培を奨励し、人々を救おうとした徳川吉宗の功績を広めようと、24年前にマニエールの創業者が生み出したスイートポテト。さつま芋と紫芋の2種類あり、辻岡成晃店長は「昔ながらの味を再現するため、さつま芋は原種と言われる、さっぱりとした甘みが特徴の希少品種を使っています」と語る。生クリームと砂糖のシンプルな材料が芋の味を引き立て、まるで焼き芋のようなホクホク感を堪能できる。さつま芋160円、紫芋170円。

和歌山市祢宜1109-8
☎073・477・3155
9:00〜19:00/定休日無し。年始は3日(火)から

(2017年1月3日号掲載)