和歌山市出身の漫画家、田岡りきさん(28)が2015年から小学館の月刊少年サンデー(ゲッサン)で連載中の『吾輩の部屋である』を、日本テレビが実写ドラマ化する。作品は部屋の中だけが舞台で、登場人物は1人。田岡さんは「1人だけのドラマは前例がないそうです。主人公と、しゃべる家具とのやり取りを楽しんで」と語る。

 主人公は東京の木造アパートで暮らす和歌山出身の大学院生、鍵山哲郎。「好きな人からの難読メール」「ホコリの発生原因」など日々の小さな疑問に哲学的な意味を見出しながら、解決を試みてはドジを繰り返す。メール、電話でやり取りする友人や大学教授、家族の姿は見えない。部屋でのひとり言に、炊飯器や照明、カバの置物が突っ込みを入れる形で、物語が進む。

 主演するSexy Zoneの菊池風磨さんは「哲郎の理屈っぽかったり、悩んだりするところに共感できる。自分との交点を探していけたら」と意気込みを見せる。

 1人だけで話が進む内容に田岡さんは「主人公の手紙だけで構成する森見登美彦の小説『恋文の技術』に影響を受けました。哲郎の行動に、『そんなことあるね』と笑ってもらえるとうれしい」。ゲッサン編集部の丹波聖泰(まさひろ)さんは「特異な設定に、連載開始は挑戦的な意味が強かった。今は、面白さがじわじわきます」と評価する。

 田岡さんは桐蔭高校時代、創作部で漫画を描き始め、京都精華大学では日本画を専攻。2年生だった09年にゲッサン新人賞で佳作、10年に新人コミック大賞少年部門で入選したのをきっかけに、14年にゲッサンminiの『確かめにいこう』でデビューした。連載は、吾輩~が初めて。「ドラマでは小物まで忠実に再現していますので、部屋の中にも注目を」と話す。

 10月2日(月)午前3時12分、読売テレビでスタート。全10回。家具などの声は、林家木久扇、賀来千香子、ミッツ・マングローブらが担当する。コミックスは5巻まで発売中。

写真=発売中のコミック(Ⓒ田岡りき/小学館 ゲッサン)

(ニュース和歌山/2017年9月23日更新)