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 資金難によりチーム消滅の危機に陥りながらも、県内外のファンから集まった寄付で、NBL(ナショナルバスケットボールリーグ)2年目のシーズンを戦い抜いた和歌山トライアンズ。苦しいチームを熱いプレーで引っ張ったのが、和歌山市出身の寺下太基選手(写真)だった。5月末で契約が終了した寺下選手にこの1年間を振り返ってもらうと共に、地元小中学生に向けて今月開く教室「テラズキャンプ」について聞いた。(文中敬称略)

恩返しの勝利

──トライアンズで戦った1年が終わりました。

寺下 これまで9年間、bjリーグ(日本プロバスケットボールリーグ)のチームでプレーしてきました。あっという間に感じた年もありましたが、今年はプレー以外でネガティブなことが多く、長く感じました。チームがこのような状態でつらかったですが、シーズン最後まで何とかやろうと思っていました。

──5月3日の最終戦、ノーリツアリーナは今季最多の1117人が集まりました。

寺下 その1ヵ月ぐらい前から、「最後の試合は絶対勝ってファンに恩返ししよう」というのが選手の共通認識でした。勝利し、やり切った思いもありましたが、最終戦の時点で、今年秋からのNBL3年目のシーズンに参入できないことが決まっていました。試合後は「ファンとハイタッチするのも最後か…」と寂しい思いが強かったです。

発見ある教室に

──6月20、21日に教室を実施します。

寺下 クリニックをしたいとの思いは前からありました。子どもたちに伝えたいのは基本の大切さ。試合で窮地に追い込まれた時、大事なのは派手なプレーでなく、基本なんです。僕が考えたオリジナルの練習法、僕がこれまでいろんな指導者に教わった練習法などを取り入れます。「こんな練習があるんや」と発見のあるキャンプにしたい。ただ、1日参加しただけでうまくなる訳ではない。普段の練習に取り入れ、継続してほしい。

──イベント名は「テラズキャンプ〝2015〟」となっていますが。

寺下 できれば来年以降も地元で続けていきたいと思っています。

──最後に、今後は。

寺下 僕自身はどこかのチームで選手を続けたい。トライアンズについてはうまくいってくれるよう願うだけです。和歌山でバスケをする子どもたちにとって、目標となるチームが身近にあるのはやる気につながります。トライアンズでのプレーは1年だけでしたが、皆さんすごく温かかった。結果が伴わない中、毎試合頑張ろうと思えたのは声援のおかげです。

☆テラズキャンプ2015

 6月20日(土)は和歌山市梅原のノーリツアリーナで、小学1~3年が対象。6月21日(日)は広川町広の広川町民体育館で、小学4年~中学生対象。各日午前10時~午後3時半で、定員50人。3000円。希望者は名前、学年、電話番号、住所、保護者名、希望日、特製Tシャツ(3000円)希望の有無(S、M、Lのサイズも)を書き、メール(trians.academy@gmail.com)で申し込む。6月8日必着だが先着順。詳細はトライアンズアカデミーフェイスブック。

トライアンズ 存続へファン1万人目指す

 トライアンズを運営するプロバスケットボール運営委員会は、NBLとbjリーグを統合して発足する新リーグ参戦に向け、ファンクラブの加入者1万人を目指す取り組みを始める。5月27日の記者会見で発表した。

 前運営会社の活動停止後、全国から1600万円を超える寄付が集まったほか、試合時にファンが運営を手伝うなど、多くの人の協力を得て今季を乗りきった。しかし、今年秋開幕のNBLは資金確保のめどが立たず、参戦できないことが決まっている。

 来年秋からの新リーグについては、3月に参入を申し入れたが、2年目のシーズンを戦った選手全員を5月で自由契約に。現在は所属選手がおらず、入会は継続審議となっている。

 永廣敏之代表理事は「2年目以降の入会を目指す。3部に当たる地域リーグから始め、力を付け、2部、1部と、ファンも一緒にチームを育ててほしい」と語った。なお、選手は今後、選考会を開いて獲得する考え。ファンクラブは年会費3000円で、集まった資金をチームのPR活動などに活用する予定だ。

 5月27日の記者会見はファンにも開放。参加した男性は「ハードルは多いが、和歌山から子どもたちの夢を奪ってはいけないし、この地を去らざるをえなかった選手たちに、また和歌山でプレーしたいと思ってもらえるよう、ファンとして協力したい」と話していた。

(ニュース和歌山2015年6月6日号掲載)