【秀吟】

これ何と疑問持つのを生かしたい   谷口 富代

何となく何かありそな今朝の顔    定松 宏枝

健康であれば何にもほしくない    玉置 当代

生きて行く道は何度も掘り起こす   上野美枝子

何時か来る孤独の窓を拭いておく   川上 智三

何も無い訳がないでしょそのお顔   田中 みね

誰が何言うても信じたいのです            森口 美羽

何不自由なくて自由が分からない   井上 文子

何年も梅酒寝かせて智恵子抄               酒井 純子

苦い水何度ものんで今がある     北原 昭枝

右のもの左へ何となく整理        古久保和子

仮の世に見栄など張って何になる   武本  碧

顎引いて額かしげる廬舎那仏     上野  寛

何てない話の出来る友がいる         福重 美子

三席・失敗は何であっても意味がある 小原 敏照

二席・何不足無いが若さが欲しいだけ 石田ひろ子

一席・何人を赦し阿弥陀の絵に溶ける 宇野 幹子

 選者吟・多数決何が何でも過ぎないか

【寸 評】

健康であれば何にもほしくない    玉置 当代

  人間の欲望は際限がないと言われますが、一つだけに絞るとやはり「健康」と仰る人が多いのではないでしょうか。率直に詠まれて共感を呼ぶ句にされました。

何不足無いが若さが欲しいだけ    石田ひろ子

  「健康」と並んで欲しいのは「若さ」ですね。健康と若さがあれば最高の幸せですね。楽しませていただいた川柳らしい二句です。

11月の兼題は「ゆとり」。11月12日(木)必着。1人3句まで。〒640・8570ニュース和歌山編集部「和歌山三幸川柳会」係

(ニュース和歌山2015年10月17日号掲載)