紀美野町へ移住 ふたりゴーシュ 初アルバム発売

 独特の柔らかい響きが特徴の打楽器、スチールパン。陽気に演奏するのは、1月に大阪から紀美野町毛原地区の古民家へ移住したユニット「ふたりゴーシュ」の山下ジュンさんと川端淑恵さんだ。全12曲を収録した初アルバム『ここにいきたい』を12月18日㊏に発売する。山下さんは「明確な音階があり、優しくメロディーを弾けるのがスチールパンの魅力です」と話す。

ユニークなCDジャケット。川端さん(左から3人目)と増殖した山下さん

 

 打楽器をメーンに活動する山下さん。ミュージカル「ライオンキング」での演奏や、人形劇の伴奏、また、歌手の舟木一夫さんやサックス奏者の渡辺貞夫さんとも共演した。これまで60曲以上を作曲したほか、週に1回は障害者向けの音楽教室で教える。

 一方、川端さんは廃材を使って創作する木工作家。スチールパンと出合い、奏者として活動するようになった。「ドラム缶をリサイクルしたスチールパンや廃材に別の命を吹き込む木工は、工夫してものを大切にするところが似ています」とにっこり。

 ライブは観客と距離が近い小さな会場にこだわる。小中高校での公演とワークショップも好評だ。川端さんの個展で楽曲を流したところ、がんを乗り越えた和歌山市の夫婦から、「自分たちの展示会場で流す曲を提供してほしい」と依頼を受け、書きためたうちの9曲を収録し、ミニライブも行った。山下さんは「夫婦の思いや体験が、僕たちの思いと重なりました」。自宅に手作りした録音室で収録と編集を行ううち、「もっと多くの人に聞いてもらいたい」と、アルバム化を決めた。

 太鼓、ギター、ベースの民俗的なメロディーが特徴の『扉』は、未知の扉を開いた先に、新しい人や世界との出会いがあることを表現。『雨粒のダンス』は、地面を跳ねる雨粒が軽やかにダンスしている様子を歌謡曲風にまとめた。二人は「情景を思い描きながら演奏しています。タイトルの『いきたい』をひらがなにしたのは、『生』『行』『活』と様々な解釈ができるように。自分たちを取り巻く全てと調和しながら生活していくとの思いを描いてもらえたら」。

 2750円。希望者はメール(irikokousakusya@gmail.com)。25日㊏から配信も始める。詳細は「ふたりゴーシュ ここにいきたい」で検索。また、来年1月30日㊐にライブを予定している。

(ニュース和歌山/2021年12月18日更新)