紀美野町在住の元アシスタント 大瀬克幸さんが保管

 『サイボーグ009』や『仮面ライダー』シリーズなどを手がけた漫画家、石ノ森章太郎が高校時代に創刊し、赤塚不二夫ら著名漫画家も参加した同人誌『墨汁一滴』。長年、関係者が探し続けていた同誌の第4巻を、かつて石ノ森の元でチーフアシスタントとして働いた紀美野町の大瀬克幸さん(69)が所蔵していることが分かった。2月9日に東京から石森プロの亀岡雅規さんが来和し、確認。大瀬さんは「まさか、そんな貴重なものが実家の押し入れで見つかるとは。躍動感のある線を描く先生のルーツを知れます」と話している。

 福岡出身の大瀬さんは高校卒業後、石ノ森の元でアシスタントを務めた。後に『マジンガーZ』や『デビルマン』をヒットさせる永井豪らと共に働き、採用から7ヵ月でチーフアシスタントに。月に500~600㌻も描く過密スケジュールのため2ヵ月後に退職し、和歌山へ来た。

 数年前、実家を片付けていると、退職前に石ノ森から譲り受けた原画を発見。石ノ森生誕80年を迎える今年、東日本大震災の被害を受けた宮城県石巻市の石ノ森萬画館への寄贈を思い立ち、原画展を2月28日(水)まで和歌山市古屋のティーズカフェで開いている。

 『墨汁一滴』は著名漫画家らがデビュー前に寄せた肉筆作品を収録し、手塚治虫ら関係者の間で回し読みされた同人誌。石ノ森が手塚のアシスタントになるきっかけにもなり、全10巻のうち、数巻見つかっていない。このうちの一冊、第4巻は、石ノ森の部屋のクーラーが故障し、下にあった棚が水浸しになったのを大瀬さんが掃除している際、原画などが入った段ボールを処分するよう言われ、譲ってもらった。

 半世紀後、今回の展示会に向け資料を整理する中で見つかった。石ノ森は野生動物を擬人化した作品を投稿しており、亀岡さんは「本物に間違いない。キャラクターに丸みがあるのは、先生(石ノ森)の初期の特徴。原画が見つかることはありますが、一冊まるごとは珍しく、絵のタッチや色もきれいで状態が良い」と興奮していた。

 開催中の原画展では、『墨汁一滴』を写真パネルで紹介。石ノ森や大瀬さんが手がけた原画約20点と石ノ森との思い出も添えている。『サイボーグ009』グッズも販売。午前11時~午後5時。月火定休。同店(073・460・4715)。

写真=鑑定する石森プロの亀岡さん(右)と大瀬さん

(ニュース和歌山/2018年2月17日更新)