提案者:東 道(南野上小学校わくわくルーム担当)

 海南市の南野上小学校隣にある公民館では毎週水曜、地域の大人と子どもが遊びを通して交流する「わくわくルーム」という活動が10年ほど前から続いている。私はこの活動のお手伝いをさせてもらっている。

 そんな私は1941年、戦争真っただ中に生まれた。幼少期は、戦後の何もない時代。食べ物がなく、食べられる草を探して持って帰るのが日課だった。電気が来ない。紙がない。書道の時間は新聞紙に書いた。風呂と炊事は木をくべるか炭を用いた。

 生まれ育った時から、それが普通だと思っていた。近所の子とよく遊び、野山をかけまわり、川で泳ぎ、魚を捕まえた。大人は隣近所が集まって、「タノモシコウ」(金銭を融通し合う扶助組織)なるものをやっていた。物はなかったが、心のつながりはあった気がする。家族、地域が支えながら生きた時代だった。

 戦後、民主主義が導入され、自由と平和と、人はみな平等だという政治に切り替えられた。働けば幸せになる、日本人のほぼ全てがそう考えて働いた。勉強すれば良い大学に入れ、安定して暮らせると思った。

 けれども最近、社会の事情が変わり始めてきている。働いて、働いて、老後は幸せに暮らせるはずだった高齢者たち。大学を出て就職できるはずだった若者たち。子どもたちを塾に通わせ、必死で働いた親たち。

 英語ガイドの勉強会で、ある外国人が言った。「日本人は家族に冷たい」と。戦後70年。物があふれ良い時代になったと思う反面、個人の自由とひきかえに日本人は何かを失った。多分、精神的な何かだと感じる。

 私の提案は、まず家族を大切にしようということである。子どもたちと話をしよう。親が、地域の大人が、声をかけよう。「宿題した?」でなく、子どもの話に耳を傾けよう。夫婦が会話をしよう。遠く離れて住む年老いた親に手紙を出そう。手紙が無理なら電話でも良い。一言、「元気?」と。

 将来、和歌山は観光都市に生まれ変わるだろう。その時、「和歌山の人は温かい」と言われるためにも、心のつながりを大事にする時間を持とう。家庭で、学校で、地域で、「心のつながりの時間」の取り組みを始めることを提言したい。

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法案への読者の声

子どもは毎日1時間、外で遊ぶ

7月29日号掲載

 今は遊びと言えばゲーム機が主流。高学年になると塾やスポーツクラブの時間も増える。子どもは外でしっかり遊び、暑さ、寒さに強い体をつくるのが大切だ。(伏虎義務教育学校区子どもセンター長 土屋智昭)

 ◎外で遊ぶことで太陽に当たり、体も骨も強くなり、子どもは子ども同士遊びながら、人とのかかわり方を学んでいくと思う。じゃれ合いながら、手加減の仕方やどうしたら相手が喜び、悲しみ、怒ったり、仲直りしたりと、ゲーム機では経験できない大切なことを学んでいく。その時期に得た経験は、大人になって社会に出た時、とても役に立つ重要な要素になる。でも、真夏だけは屋外で遊ぶのは、今と昔とでは最高気温を比べると、かなり高温なので、小さな子や、まだ自己管理ができない子は大人が近くで見て、時間や水分補給など調節してあげるのが良い。(匿名 パート 44歳)

 ◎幼いころは毎日、外が遊び場だった。むしろを敷いてままごと、春にはランドセルを放り出して山菜採りと、放課後は楽しく、また健全な時間だった。それにひきかえ、昨今はまず塾でしょうか。また、家に閉じこもってスマホなど文明の利器に操られているのではないか。体を動かすことで脳も活性化すると言う。世の子どもたちよ、体を鍛えておこう。外で遊ぼう。(匿名 無職 81歳)

 ◎遊びは他人に強制されてやるものではない。命令されても、いつも通り室内でする遊びを外でするだけだ。トレーディングカードゲーム、携帯ゲーム、マンガなどで時間をつぶす。もし、自分が勤め先の社長に同じことを言われたら、同僚たちと何をして遊びますか? 困るでしょ? スマホいじりません? 野球やサッカーなどの球技もオススメしない。運動が苦手な子は負け続けるか、来ないボールを待つだけで大変苦痛で暇。(匿名 システムエンジニア 32歳)

 ◎「法案」としては反対だが、思いは同じ。我々のころは、外で遅くまで遊び、帰りが遅いと怒られ、正月は竹ひごとポリ袋でゲイラカイトを作ったり。今は、ゲームやスマホ、友だちとの交流はLINE? そんな世の中で、外との刺激、人と話をすることでの脳の活動量が、絶対に昔より減っていると思う。今の子は、想像力がひ弱かも。それでも、外で遊ぶのは、規制で「させられる」ことではない。ゲームを買い与え、「何かあった時に」という感覚でスマホを小学生から買い与えている我々大人、親が、もっと子どもの鍛え方、しつけを正しくできるよう改めないといけないのではないか。(匿名 公務員 51歳)

(ニュース和歌山/2017年8月12日更新)