「今日、わたしはお皿を洗わなかった ベッドはぐちゃぐちゃ 浸けといたおむつは だんだんくさくなってきた」。ニュージーランドの子育て支援施設に伝わる詩『Today(今日)』(伊藤比呂美訳)の始まりの一節▼今日も一日、掃除も洗濯もできなかったけれど、赤ちゃんを抱き、授乳し、おもちゃで遊んだ。主婦として完璧ではなくても、もっと大切な子どもに愛情を注げた。それで充分、「ちゃーんとやったわけだ」と詠み、母親たちの共感を呼んでいる▼私は昨年出産し、育児真っただ中。数時間置きの授乳に、夜泣きで眠れない日が半年以上続いた。家事に手が回らず、散らかる部屋。自己嫌悪で落ち込む中、この詩に救われた▼核家族化や地域のつながりの希薄化により、一人で世話をする「孤育て」が社会問題化している。ストレスから子どもに手を出してしまう悲惨なニュースも。育児中のお母さん、「完璧でなくていいじゃない」。どうか自分と、愛おしい子どもに寛容であってほしい。 (秦野)

(ニュース和歌山/2018年5月12日更新)