日本の子どもの人口が38年連続で減少しています。和歌山の出生数も減少し続けています。少子化対策など国をあげて取り組んでいますが、止められない複雑な背景があります。
未婚率上昇、晩婚化、出産数低下など、家族のあり方は100世帯あれば100通りあり、「多様性」とは便利な言葉で、その様々な背景を本当に認め、配慮されているのでしょうか。
世間では働き方改革や、女性活躍だと言われますが、実際は家事育児、時間のやりくり、子どもとの時間確保や仕事と子育ての両立に関する悩みは、大半が女性のものです。こんなに忙しいのでは仕事を続けながら結婚・子育てに前向きになる若者が減るのもうなずけます。
昭和、平成という時代を経てインフラをはじめとしたハード面が充実した反面、教育や行政サービスというソフト面は、理想の中にある多くの矛盾との葛藤に悩んだ時代でした。集団から個人へ移り、個人が自由に発信できる時代になりましたが、利己主義の集合体になってしまったのではないでしょうか。
21世紀も20年近くが過ぎ、かなりのスピードで社会が変化する中、これからの新しい働き方、家族像の見直しが必要なように、制度の見直しも必要だと感じます。今までのような会社に合わせた働き方をしていては、子育ての負担、ひずみが次世代に残されていきます。
子育てはだれのためなのか。その自問自答の中にヒントがあるのではないでしょうか。男性にも育児休業を義務付け、家族がチームとなって同じ時間を共有しながら子育てにかかわり、地域と交わりながら子どもの成長を見守ることができる社会になればいいなぁと思います。
子育て中、介護をしている、ハンデがある…。令和時代の和歌山は、様々な人達が働ける柔軟な社会の実現へ。私達が声をあげることで、制度や仕組み、意識を変えてゆけるはずです。
(ニュース和歌山/2019年5月18日更新)