戦争のない平和な時代として幕を閉じた「平成」は、医療や情報通信技術が急速に発展する一方、バブル崩壊やグローバル競争の激化による産業への影響、災害の激甚化など、負の側面も多く見られる時代でした。

 新たに迎えた「令和」においても、課題山積の厳しい状況に変わりはなく、とりわけ、日本経済は「人口減少・人手不足」という大きな課題に直面しています。弊所の調査によると、県内でも、約4割の企業が人手不足の状況にあり、「人手不足で注文を断った」「人手が足りず、製品開発や販路開拓に時間を割けない」といった経営者の声が多く聞かれます。

 この課題を解決するため、企業は働きやすい職場、働きがいのある職場をつくり、一人でも多くの方が、効率よく、いきいきと働ける環境を整備することが重要です。先ほどの調査によると、既に約半数の企業が「長時間労働の是正」「休日取得の推進」などを進めています。ただ、労働時間を減らすことが優先されるあまり、本当の意味での働きやすさ、働きがいのある職場づくりに取り組めている企業は多くないと思われます。

 私たち一人ひとりが、「業務をもっと簡素化できないか」「必ずしも必要ないにもかかわらず、習慣的に行っている業務はないか」「だれかの業務と重複していないか」と自らに問いかけ、その自問自答の結果を皆で共有し、全社的な「働き方改革」につなげることで、作業効率は改善し、多くの時間が生まれます。この生まれた時間を使い、新製品・サービスの開発、新分野への進出など、新たな価値創造に取り組むことができれば、働きやすい職場、働きがいのある職場づくりにつながるものと考えます。

 先行きに対する不安ばかりが頭をよぎる社会情勢ではありますが、一人ひとりの「働き方改革」により、県内企業の事業活動が活発化し、和歌山がより魅力的な地域になることを信じ、皆様とともに頑張って参りたいと思います。

(ニュース和歌山/2019年6月29日更新)