クラーク博士が残した名言「青年よ大志を抱け!」。私は、人生100年時代を迎えた今こそ、「高齢者よ大志を抱け!」と声を大きくして言いたい。

 和歌山の高齢人口率は31・5%と全国8位、近畿で1位。県は「80歳現役社会」を掲げ、人口減対策や地域経済の活性化を図っている。「いつまでも元気に働きたい」という人は多く、高齢者の高い活動意欲と経験、能力を生かすことは「和歌山の元気づくり」につながる。この仕組みとして提案するのが、「100歳大学」である。

 100歳大学は、単なる高齢者の教養大学でなく、既存の大学のリカレント教育や生涯学習でもない。また、高齢者のニーズにこたえる大学でもない。

 この大学の目指すところは、人生100歳時代という新時代に、「長い老いのステージをどう生きるか」についての基本を体系的に学ぶ学校であり、将来は「老いの義務教育」を目指す学習の仕組みである。それも市町村が人生100歳時代にふさわしい、「健康長寿の人づくり」と「健康長寿のまちづくり」のために設置する住民のための「老いの学校」である。

 これまでの実践を基に、老いの生き方の基礎となるカリキュラムのテーマを例示する。①人生100歳時代は「新しい時代の到来」と認識②高齢社会で長い老いへの「覚悟と備え」③健康づくり④生きがいづくり⑤老いの暮らし(経済、就労、居場所、住まい)⑥自分の地域(歴史文化や誇り、自治会などの実態と課題、介護、災害対策)⑦人生の幸せ(感謝、老いの夫婦関係、死への備え)⑧100歳人生のマイプランとその備えへの具体的な挑戦。

 現在の医療や介護は「消費型」だが、100歳大学の普及は老いの生き方を学ぶ仕組みづくりであり、高齢者への「投資」である。「消費型福祉」から「投資型福祉」へ、令和の新時代に「介護維新への挑戦」ともいえるものである。高齢者の皆さん「人生は二幕目がおもしろい!」の学びをしてみませんか?

(ニュース和歌山/2019年5月25日更新)