皆さんは、なぜ車いすのための駐車場やユニバーサルトイレが必要なのか知っていますか。
 平成の時代は、それまでなかなか取り除くことのできなかった〝バリア〟が、少しずつ法律の制定により取り除かれました。バリアフリーという言葉もあちこちで聞き、街に車いすで出かけていく人が増えました。

 最近は、ユニバーサルデザインという考え方が広まってきています。これはすべての人が快適に利用できるようにデザインされたものを指します。バリアフリーが高齢者など生活に不便を感じている人を対象にしているのに対して、妊婦さんや子供連れのお母さんなどあらゆる人を対象としています。

 しかし、一つ気になることがあります。例えば、和歌山市内のホームセンターでは雨になるといつも車いす用駐車場が一杯に。イベント会場のホールではユニバーサルトイレで着替える方を見かけます。以前は、「空いているのだから便利に使用すればよいのでは」と思っていましたが、私自身が電動車いすを使うようになると、スペースのない一般の駐車場やトイレは利用できないと分かりました。あきらめて帰るか、空くのをじっと待たないといけないのです。

 車いすだと利用できる選択肢が他にないことに気が付かなかった私は、「ボーっと生きてんじゃねーよ!」とチコちゃんにしかられそうですが、現実は大変厳しいものでした。ことさらに権利を主張する必要はなく、気付かなかった現実を地域の人たちに理解して頂き、必要な人に譲る思いやりと優しさを子ども達にも広げていければうれしいのです。

 令和の時代は一歩進んだ「心の優しさと思いやり」、つまり、すべての人を個人として尊重し、思いやりの心をもって助け合うこと、共に生きる人間の心の育成を目指すこと、だれもが住みやすい福祉のまちづくりにつなげていく、そんな和歌山にしていきたいと思います。

 多くの人々が何度でも訪れたいと思える我が故郷和歌山に! !

(ニュース和歌山/2019年6月15日更新)