乗用車の自動運転技術に注目が集まっている。筆者は「ロボットに命を預けられるか」と反発してしまうが、果たして…▼労働人口が減少し、最近問題視されている高齢者ドライバーの事故が多発する中、確かに、コンピュータが人の代わりに運転してくれる方が安全で安心な場合があるのは理解できる▼しかし、その実用化にはまだまだ課題が多い。道路をカメラで認識するというが、農村部の生活道路では木で見通しが悪く、自前のセメントで作った狭い私道もあり、高齢化の先進地である地方で、都会と同様の技術が適用できるか疑問を感じる。また、事故を起こした場合、責任はメーカーか、運転者か、コンピュータシステムの会社か、不明確だ▼信号のない道を渡ろうと手を挙げて待っている子どもに道を譲る車を見かける。その時、子どももドライバーもさわかやな気持ちよさを感じるはず。利便性を求めるのはもっともだが、人と人のふれあいを温めてくれる技術こそ、人に優しい本当の技術だと思う。 (林)

(2017年1月28日更新)