今年は、串本町田原から人工衛星を乗せた国内で民間初となるロケットがスペースワン社により打ち上げられる予定です。新型コロナウイルスの影響で当初の3月から12月ごろに延期されましたが、このころにはコロナも収束し、まさしくロケットスタートの勢いで県内の景気も一気に急上昇してほしいと願っております。

もうすぐ串本でもこんな光景が

 人工衛星は、通信、放送、気象や、GPSなどの測位及び地表の観測に使われ、昨年7月に発生した熱海市の土石流災害では、損保大手が衛星データで被災状況を確認し、迅速な保険金支払いに役立てました。

 国連宇宙部によると、今年2月時点の人工衛星は、軌道上に8000基以上あります。さらに今後10年間で、高速インターネットの構築や農漁業及び都市計画などへの活用のために、世界で数千機の小型衛星打ち上げ計画があるといわれています。

 この中でもアメリカにあるスペースX社のスターリンク計画は、全世界にインターネットを提供するため、2020年代中ごろまでに約1万2千機、将来は約4万2千機を打ち上げる予定。現在も続けざまに発射しています。人工衛星1機当たりの製造、運用費を抑えるため、同社のファルコン9は昨年1月、1回の発射で史上最多となる143機を打ち上げました。またロケットの回収、再利用も進み、これまで1機につき85〜120億円かかった費用が、19年から200㌔までの人工衛星だと、約1億円と破格のコストになっています。

 串本で事業を手がけるスペースワン社のロケットは、通常数ヵ月単位となる組み立てから発射までを、7日間という短期間で行います。20年代中ごろには年間20機の打ち上げを目指しています。

 県は発射場設置による地元への経済効果を、10年間で670億円と見積もっています。多くの人を引き寄せ、紀南地域の活性化をけん引することを期待しています。

和歌山社会経済研究所研究委員 中西 望(毎月第4土曜担当)

(ニュース和歌山/2022年2月26日更新)