「20~30代の人を中心に、観光の定義が変わりつつある。というのは、どこの地域でも八百屋や精肉店、食堂、銭湯などの個人商店を自慢のスポットとして紹介してくれる。彼らの見立てによって寂れたシャッター商店街は、〝ヴィンテージ昭和遺産〟に変身する」

 そう話すのは、英国から帰国後、雑誌や音楽媒体と第一線で活躍されてきた写真家、MOTOKOさん。カメラを通して様々なまちの本質を見つめ、「地方創生」の言葉がない時代からその可能性に気づき、滋賀県長浜市、愛知県岡崎市などで、写真を通したまちづくりを実践されてきました。

 彼女は「暮らし観光」という新しいかたちを提案しています。景勝地、グルメといったこれまでの観光ではなく、その土地で親しまれる個人商店、産業の現場を、少し感度が高く、地元のおもしろい人とつながりがある人の案内により、まちあるきで巡ります。

 2013年に始まり、香川県小豆島の観光・移住の火付け役になった「小豆島カメラ」も、その実践と言えます。地元女性7人(写真)が日々の生活の楽しさ、豊かさをSNSで発信しています。お仕着せの観光名所ではない、なにげない暮らしの写真が、多くの人々を引きつけます。これらのやさしく、丁寧で質の良い取り組みの甲斐もあり、近年、小豆島には毎年約400人が移り住んでいます。

 NHKの「ブラタモリ」をはじめ、テレビではまちあるき番組が多くあります。〝観光・まちづくり・暮らし・産業〟がつながり形成される「その土地らしさ」が観光になる時代です。それが住民や子どもたちの〝シビックプライド(まちへの誇り)〟の醸成となり、若者が和歌山に帰ってくるきっかけにつながる。私が運営している「ワカヤマデイズ」も、その一助になればと思っています。

WEBメディア「ワカヤマデイズ」運営 武田 健太(毎月第3土曜担当)

(ニュース和歌山/2022年7月16日更新)