グラシアス。日本語でありがとう。最近、季候の変化によって風邪を引き、症状が長引いて治るまで1週間ほどかかってしまいました。その間、ホームステイ先の家族が温かいスープを作ってくれたり、同期の隊員が飲み物や軽食を持ってきてくれたりと、ペルーでも人に支えられていると実感し、感謝の気持ちでいっぱいになっています。

 南半球にあるペルーは、日本と反対の季節です。冬の首都リマは9月までほとんど太陽が出ずに曇りが続き、平均気温は15度くらいでした。10月になると太陽が見え始め、日中は半袖シャツでも過ごせる日がありますが、夜は寒く、外出時はダウンを着ます。一方で、ペルー北部は年中、太陽が出て暑い日が続きます。


 10月でペルーに来て1年がたちます。この1年間でペルーの野球にどのくらい貢献できたのかは分かりませんが、指導者として残りの1年で結果が残せるような活動をしたいと思っています。大会の結果、各選手の成長でも良いです。野球選手として結果が一番のモチベーションにつながるので、選手一人ひとりに全力で向き合います。

 私が思う現在のペルー野球の練習は、今の能力を高めるのではなく、常に維持するようなイメージです。世界から見ると決して高いレベルではありません。そのため、今以上に厳しい練習や違った練習方法、選手の意識改革が必要だと感じています。まだまだ周りを見ながらの活動ではありますが、自分の役割をしっかりと理解し、いつの日か日本のチームに勝てるよう夢を見て突き進んでいきたいと思っています。

 先日、子ども達に夢を聞きました。野球をする日本の子ども達は、プロ野球選手と答える子が多いでしょう。私の夢は甲子園に出場することでした。しかし、ペルーの子ども達の大半は、会社で働くことでした。経済的背景もあり、夢がプロ選手でなくても良いですが、野球が「好き」から「大好き」に変われば、もっと楽しくなるはずです。夢は成長の原動力になります。子ども達が野球をもっと好きになり、日本やアメリカでプレーすることが夢と言ってくれるよう、残りの任期、1年で素晴らしさを伝えたいです。

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 向陽高校出身で元甲子園球児の森敏郎さんが、青年海外協力隊として赴任するペルーからレポートを届けます。

写真=子ども達と(前列中央が筆者)

(ニュース和歌山/2017年10月21日更新)