日本各地で大雪が降るのとは対照的に、ペルー・リマ市内は真夏です。日中の日差しは日本に比べとても強く、日焼け止めを塗らなければ、次の日には肌が痛くなり皮がむけてしまいます。外でスポーツをする子ども達にとって日焼け止めは欠かせません。自分が日本で野球をしていたころは一度も塗ったことがなかったので、驚いた場面の一つでした。

 今回は、このようにペルーに来て驚いたこと、ペルーの方と生活する中でどのような違いがあるのかといった気づきを紹介したいと思います。

 まず初めに驚いたのは交通渋滞やバス移動の現状です。ラッシュ時間になると必ずどの道も渋滞してしまうため、目的地まで普段の2倍以上の時間がかかってしまいます。また多くの車が車線変更や割り込みを防ぐため、車間距離を詰めて走り、追突事故がとても多く、それによってまた渋滞が発生するという負の連鎖が続いています。

 バスは、東京の満員電車のようにおしくらまんじゅう状態で、クーラーが作動していないためサウナのように感じます。しかし、そのような中でも年配の女性や妊婦さんが乗ってくると、みんなで席を譲り合います。当たり前のことを当たり前にできる素晴らしい光景で、レディーファーストを大切に、女性に優しい、南米らしい良い国です。

 南米らしさと言えば、時間にルーズです。家でも「今日はパーティーがあるから集まって」と言われ、その時間に行くとだれも来ておらず、準備中だったりします。ペルーに来る前に想像していた、ラテンの陽気な感じは想像通りでした。野球では、技術面やトレーニング方法を直接指導する場合、「これは何のために行うのだ?」「この筋肉を鍛えると何が良くなるんだ?」など聞いてきます。なかなか日本の子ども達には見られないことです。言いたいことをはっきりと言える環境が幼少期から出来上がっているのです。

 「どのような人でもみんな友達だ」と思っているから、そのような環境が生まれるのではないでしょうか。日本に帰った際、このような良い文化を取り入れたいと思います。残り少ない任期中、もっと良いペルーを見つけ、紹介してゆきます。

写真=リマ市内の大渋滞

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 向陽高校出身で元甲子園球児の森敏郎さんが、青年海外協力隊として赴任するペルーからレポートを届けます。掲載は偶数月の第3土曜号。次回は4月21日(土)号掲載。

(ニュース和歌山/2018年2月17日更新)