『紀伊国名所図会』に、「満願寺は今廃して、薬師堂存す。堂より二町許東に、大岩ありて高く聳ゆ。四村谷の水、是に至りてなだれ瀧をなす」。『紀伊続風土記』に、「滝の底に、高麗狗(こまいぬ)あり。蟻通神社前の雌狗といひ伝ふ」とある。狛犬は普通、一対で向き合っている。滝壺に沈むとなると、もう一体はどこか。対となる狛犬が、滝から北東500㍍の蟻通神社にあるという。

 蟻通神社で狛犬を確認した。それは彫刻というより、自然石でできたような狗形。顔すらなく、ただ2本足で立つ狗の石像だ。これが滝壺に沈む狛犬の対で、2本足を子どもがくぐると疱瘡が治るといういわれがある。滝に沈んだ狛犬と神社の狛犬。彼らが守る神域は何だったのだろうか。

(ニュース和歌山/2018年3月10日更新)

大上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。