本格的に冬の寒さを感じ、あったかいものが食べたくなる季節です。今回の依頼は、ペンネームMJさんの「海南市のずぼら焼き。名前の由来は?」です。

 同市日方で長年愛され続ける銘菓ずぼら焼きは、くろあん、しろあん、カスタードクリームの3種類の具材が、ふんわり食感の甘い生地の中にぎっしり詰まった、地元で人気のお菓子です。

 ほかにも回転焼きや大判焼き、今川焼きと様々な呼び方がある中、なぜこの名前になったのか。従業員の今井麻美子さんに聞きました。

 


 

原価は〝ずぼら〟でも値段は一定

 「海南市のずぼら焼き。名前の由来は?」。従業員の今井麻美子さんに聞きました。

 1959年の開店当時、小豆の市場価格は変動が激しく、原価を考えて販売すると、値段設定が難しかったそうです。「そこで、初代店長の堀田繁一は、原価計算を〝ずぼら〟に考え、お客さんが買い求めやすいよう、たとえ小豆の価格が高くなっても、商品の価格は変えないようにと、付けた名前が〝ずぼら焼き〟でした」。決して〝ずぼら〟に決めた訳ではなく、お客さんに「ずぼら焼きはこの値段」と覚えてもらえるように、初代が考えた工夫からこの名前が付いたんですね。

 お店は今年で創業60周年。今も昔もお客さんを思う気持ちは〝ずぼら〟でなく、これからもしっかり受け継ぎ、子どもからお年寄りまで愛される海南のソウルフードとして残ってほしいものです。

(ニュース和歌山/2019年12月14日更新)