怖さ:3
川の妖怪
出没地域:田辺市中辺路町

 昔、 中辺路の温川(ぬるみがわ)に美しいかんざしをさした河童(かっぱ)、ガイラボシがいた。村娘のシゲノはそのかんざしを見たくて、毎日のように川へ出向いた。そして、とうとうそのガイラボシに出会った。かんざしは水の光をはね返してキラキラと美しい。シゲノはすっかり、そのかんざしに魅了された。ある日、いつものように川べりを歩いていると、ガイラボシが川から顔を出して、シゲノを手招きする。シゲノは誘われるがままに川に入って行き、そのまま深みに沈んでしまったという。いつしかシゲノが沈んだこの川の深みを、村人は「シゲノ淵(ぶち)」と呼ぶようになった。

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