市民の憩いの場で、和歌山城南隣の岡公園。和歌山市の林博昭さんから「岡公園の天妃山、ヤリの先端のような碑が頂上にありますが、あれって何?」との質問が届きました。

 早速、公園中央にある大きな岩山を登ると、山頂に不思議な建造物が。三角すいのヤリのようないかつい形をした碑、だれが、いつ、何のために建てたのでしょう…?

 岡公園の歴史に詳しい、和歌山城整備企画課の学芸員、大山僚介さんに聞きました。

 


 

日清戦争勝利の記念物

 「岡公園の天妃山にあるヤリのような碑は何?」。和歌山市和歌山城整備企画課の学芸員、大山僚介さんによると「日清戦争の勝利を記念した建造物です」とのこと。

 天妃山は江戸時代、市民が登るのを禁止されていました。明治時代に入り、市民が集うようになると、佐賀の乱、台湾出兵、神風連の乱、西南戦争で戦死した県民を慰霊する「四役戦亡記念碑」が1879年に建てられ、その前年からは招魂祭が行われていました。

 日清戦争後の95年、四役の記念碑があるのだから、日清戦争の記念碑も造るべきと、5代目の県知事、石井忠亮はじめ有力者86人が寄付を募りました。

 六角形の御影石でできた三段の土台の上に、大阪城内の軍事工場で造られた銅製の三角すいがあり、その高さは約6㍍です。東面に「征清記念標」、北西面に「陸軍大将大勲位功2級彰仁親王書」、南面に「明治28年12月」と文字が刻まれています。

 ほかにも歴史的な建造物がある岡公園は、案内板が新しくなったばかり。解説を読みながら歴史に触れてみては?

(ニュース和歌山/2020年3月28日更新)