怖さ:4
川の妖怪
出没地域:白浜町

 昔、富田川(とんだがわ)でのこと。釣り好きの与平が大鯉を追って川に飛び込むと、突然、目の前に大きな屋敷が現れた。与平は急に意識が遠くなり、気が付くと屋敷の広間に寝かされていた。そこへ一人の女が現れ、「ここは人間の来る所ではない。次に来たら命をなくしますよ」と言った。与平は再び意識が遠くなった。気付けば川の淵。震える体を落ち着かせるため、火をつけようとした煙管(きせる)を誤って川に落としてしまった。女の言葉を思い出したが、人からの預かり物。与平は川に飛び込み、同じ屋敷の前で煙管を見つけた。そこに現れたのが屋敷の女。見る見る老婆の姿になり、与平を絞め殺してしまった。その後、この淵は「与平穴」と呼ばれるようになった。

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(ニュース和歌山/2021年8月21日更新)