このコーナーに届く疑問の中で、特に多いのが「地名の由来」。今回もその中から調べました。和歌山市のM・Mさんから届いた「和歌山市に甚五兵衛丁(じんごべえちょう)との町がありますが、甚五兵衛さんが住んでたんですか?」です。

 県庁の西側、七曲市場近くに北甚五兵衛丁と南甚五兵衛丁があります。職業や役職がそのまま地名に使われた例は「仲間町」や「小人町」など、このコーナーでも紹介しましたが、「甚五兵衛さん」は実際にいたのでしょうか?

 


 

弓矢使う武士のリーダー

 「和歌山市の甚五兵衛丁には甚五兵衛さんが住んでいたの?」。同市立博物館に聞くと、「芦川甚五兵衛という人の名前が由来です」とのことでした。

 芦川甚五兵衛は江戸時代、和歌山城の警護や戦で、弓矢を使って戦う御弓組(おゆみぐみ)と呼ばれる50人の武士たちをまとめたリーダー、御弓頭(おゆみがしら)です。この辺りは御弓組のメンバーが住む武家町だったため、町名に御弓頭の名前をつけたそうです。ただ、芦川本人は、組の者より位が高いため、この町には住んでいなかったと考えられています。

 当時は自身の名前が町名に使われるのは光栄なことだったみたいですが、もし今の時代に同じことがあったら、「個人情報の漏えいだ」と騒がれてしまいそうですね。

(ニュース和歌山/2022年1月15日更新)