怖さ:2
里の妖怪
出没地域:和歌山市

 95歳のBさんが子どものころというから、もうずいぶん昔の事である。ある日の夕方、お遣いを済ませた帰り道、どこからともなく『手毬歌』が聞こえてきた。今まで耳にしたことのない歌。目をやれば、夕焼けの中にてんてんと手毬が弾んでいる。そう、そこには誰もいない。手毬だけがはねているのだ。Bさんは不思議に思ったが、あまりのきれいさと、前々から欲しかったこともあり、引き寄せられるように近づいて手に取った。その瞬間、手毬が大きな目を開け、歌い出した。思わず手を離したBさん。手毬はそのまま、てんてんと弾んでどこかへ消えた。

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(ニュース和歌山/2022年4月16日更新)