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 2025年の医療体制と実現に向けた取り組みをまとめた「県地域医療構想」。策定した県は1日、医療機関との連携を図るため、初めての協議を和歌山市で行った。限られた医療人材を効率良く活用し、10年かけて〝治す〟から〝治し、支える〟医療への転換を進める。県医務課は「必ずしも手厚い医療を必要としない患者が緊急性の高い患者のための病院にいることがある。患者の状態に合った治療が受けられる体制を目指す」と話している。

 団塊世代が全て75歳になる25年は、医療、介護とも需要がピークを迎え、財政的に社会保障制度の破綻(はたん)が危惧(きぐ)されている。国は昨年、医療介護総合確保推進法を成立させ、患者の状態に合った治療と回復支援が受けられる制度設計を進めている。

 県内の病床数は14年時点で1万2540床。25年の需要推計は人口減少などの影響で9490床に減るが、これとは別に3500人程度の在宅療養者も見込む。現在5874床と最も多い急性期病床は、看護師1人に対し患者が10人と手厚いが、急性期ほど治療を必要としない回復期の患者が入院していることがあり、医療人材と医療費のロスを生んでいる。

 構想では、治す医療を提供する急性期病院と、支える治療を行う慢性期病院や有床診療所、さらに在宅医療の役割を明確にし、その架け橋として新たに回復期病院を創設。かかりつけ医を常駐させ、リハビリなどを手厚く行い、患者の身体機能回復に重点を置く。

 今後10年で県内の回復期病床を1171床から3315床に増やすほか、医療従事者の確保と養成、地域の医療機関と連携した在宅医療の体制整備も進めていく。

 協議は医療圏ごとに開催し、地域の大病院や有床診療所などが情報や意見を交換して病床再編を推進する。 

 和歌山医療圏で初めて開かれた1日は県が構想を説明。参加した医療関係者から「地域によって年齢別の人口バランスに偏りがあるので配慮が必要」「社会動態で患者の動きも変わると思うので把握しておきたい」などの意見が出された。

写真=県が医療構想を説明

(ニュース和歌山2016年9月17日号掲載)