山東サンシャイン 着物地使い人気

 和歌山市東ぶらくり丁のクリーニング店、山東サンシャインの神谷やよいさんが古布で作る服が人気だ。店先に並ぶのは不定期だが、徐々にファンが増え、毎日前を通って新作が出ているかチェックする人や、泉南市から足を運ぶ人も。「クリーニングのお客様以外の人と仲良くなった。皆大事に使ってくれ、わざわざ着たところを見せに来てくれる人もいる。見に来た足でぶらくり丁をぶらぶらして」とほほ笑む。

 10数年前、母の遺品に多くの着物を見つけた。自分が着る物以外を、夫で店主の隆造さんがクリーニングした。独学でウエディングドレスや子どもの服を作り、パッチワークを習っていたこともあり、新しい趣味にと、生地を使い服や小物を縫い始めた。

 最初に仕上げたのは大島つむぎの男性用ベスト。パッチワークの技法を用いデザイン性を出した。試しに店先に吊るしたところ、通りがかった人が「すてき」とすぐに購入。同じように友禅染、絣(かすり)、絞りなど様々な着物地でワンピース、パンツ、ブラウス、コート、マフラーを仕立てて店先に出すと、希望者が続々と現れた。以来、夜や休日の気が乗った時にミシンに向かう。店先に並ぶのは週1、2着だ。

 「同じ形のものが欲しい」「この着物で何か作って」との要望もあるが、全て断っている。「あくまで趣味。生地を見て思い浮かんだものを仕立て、それを気に入って買いたい人がいれば売るだけです」

 今は干支の小物に取り掛かっている。「たくさんの生地を前に、デザインや組み合わせを考えるのが一番楽しい。『配色のセンスが良い』と言ってもらえるのがうれしい」と声を弾ませている。

写真=たくさんの布に囲まれ軽快にミシンを走らせる

(ニュース和歌山/2020年11月21日更新)